kta-basket's blog

バスケット好きによるなにか

2021 WNBA Finals GAME2

Game1に続き、Game2も考察してみます。

Full Gameはこちら

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3戦先勝した方が優勝のファイナルでシカゴが先に1勝を手にし、ホームで負けられないフェニックス。1Qはグライナー!グライナー!グライナー!といった形で最初の10ポイントを一人で得点する活躍でチームを引っ張ります。対するシカゴはGame1に続きボールを回して良いショットチャンスが巡ってきた選手が着実に決め、26-20とシカゴリードで1Qを終えます。その後も流れが行ったり来たりしながら試合は進み、4Q終盤フェニックス1点リードでファールゲームを実行したシカゴに対しペディは1本しか決めることができず、その後のオフェンスでスルートが同点となるレイアップを沈めオーバータイムにもつれ込みます。オーバータイムでは残り1分半同点からトーラシの3Pで抜け出たフェニックスが守り切り、最後にスカイラーがダメ押しのレイアップを沈め、91-86とシリーズをタイに戻しました。

シカゴのオンボールスクリーンDFに対するフェニックスの対処

シカゴのDFプランはGame1から大きく変わっていません。オンボールスクリーンのハンドラーに対してダブルチーム気味のハードショウをするスタイル。Game1で相当苦しんだフェニックスですが、当然準備をしてきました。Game1の後半と同様オフボールスクリーンを増やしていましたが、大きく変わったのが、メインのハンドラーをスカイラーにしたことです。前回の考察にてこのDFのかわし方のひとつとしてあげたハンドラーがドリブルをついたまま大きく動く、ということを徹底して実施していました。スクリーナーのDFが出てくることがわかっているので、スクリーンを使ったあと斜め後ろの方向へ大きく下がり、スクリーナーのDFが簡単にプレッシャーをかけられないようにしていました。言うは易しですが、スカイラーのスピードによってその幅がかなり大きくなったことでトラップに引っかからず、かつシカゴDFに迷いを生じさせることに成功していたように思います。スクリーナーのDF(ビッグマン)がそのままスカイラーを追いかけるべきか、マッチアップを戻すべきかの判断が難しくなり、前回完璧に近かったシカゴのローテーションに狂いが生じます。その結果グライナーに簡単にポストアップを許したり、ヘルプのあとのローテーションが遅れたところにターナーが飛び込んだり、Game1では少なかったイージーシュートが増え、フェニックス本来の得点力を発揮することができました。また、スカイラーはハードショウで出てきたスクリーナーのDFとスクリーナーの間を割るスプリットという動きも見せていました。

ハイピックを減らし、スカイラーのアイソレーションを起点にしたり、オフボールでトーラシがグライナーにスクリーンをかけたり、シカゴのトラップを避けつつスイッチの判断を難しくさせる欠片がちりばめられていたように思います。

ソフィー・カニングハムの復帰

ふくらはぎの張りのため3試合欠場していたソフィー・カニングハムがこの試合から復帰しました。ベンチから出てきて流れを変えるシューターです。プレイオフ1回戦でもベンチから出てきて1試合7本のスリーを決めて勝利に大貢献しました。Game1でシェイ・ペディがスタートで調子が良かったので、スタメンは変えずカニングハムはベンチから出てくるかと予想していましたが、スタートはカニングハムでした。

結果、これが大成功。

連続で決めたスリーも印象的ですが、なによりカッパーに対するハードなDFが素晴らしかった。どこか殿様相撲というか、斜に構えたところのあるフェニックス(もといトーラシ)においてエナジー全開で吠えまくりながらプレーする彼女はチームにかなりの勢いを与えたように思います。彼女に感化されたかのようにGame1では少し大人しかったスカイラーもDFで気を吐き、シカゴのOFを停滞させる時間帯を作りました。

スタッツを確認したら得点自体は3P3本の9点のみ、スティールも1本のみですが、チームに与えたエネルギーは計り知れないように感じます。

クラッチタイム・トーラシ

本来のOFを取り戻したフェニックスにおいて、前半2点と振るわなかったGOAT ダイアナ・トーラシ。しかしもちろんそのままでは終わりません。3Qで4点を上げると、4Qで2本の3Pを沈め、オーバータイムでは4点プレーに始まりDF3秒で得たFT1本とさらに3Pの8得点を上げ、終わってみれば20得点。OT残り35秒で追いかけるシカゴのバンダースルートから値千金のスティールまで奪っています。接戦の終盤で彼女がいる恐ろしさを改めて思い知らされました。

余談ですが、この試合、サンズとのプレシーズンゲームのためにフェニックスにいたデイムタイム(クラッチタイムに強いことから)の異名を持つデイミアン・リラードが観に来ていましたね。淡々と試合を観ている様子でしたが、以前トーラシのTシャツを着ていたこともあったので、トーラシファンなのではと思っています。トーラシの4点プレイの際の彼のリアクションを確認したいところ。

フェニックスのDF

ソフィー・カニングハムがインテンシティをもたらした、と書きましたが、Game1との差分としてスイッチを安易にしなくなったように思います。(トーラシがファイトオーバーする気が全くなくスイッチしてミスマッチであっさり得点を許したシーンもありましたが。)基本的にハンドラーへのプレッシャーを上げてきていましたね。その結果がスルートの6TOとカッパーの4TOに繋がったかと思います。起点を苦しめた結果、4Q終了時点でシカゴ79点とGame1より12点も低く抑えることができました。また、トランジションの戻りも相当速くなっていたと思います。OFの際にターナーをトップ付近に置く機会が多く(元からか今回の作戦かは過去試合を見直してみなければ不明)、セーフティとしてAll-Deffencive First Teamにも選ばれている彼女が良く戻っていたため、シカゴにファストブレイクポイントを許さなかったシーンがいくつかありました。

結果的にシカゴは4人が二桁得点と一見バランスしていますが、合わせで活きるタイプのスティーブンスが9点とチームOFが脅威のシカゴとしては個での得点に頼らざるを得なかった印象です。(個で得点できるメンバーが4人もいるのは置いておいて)

Game3に向けて

さて、OFで本来の姿を取り戻し、DFでもインテンシティを上げることに成功したフェニックスですが、全く安心はできません。何せ、それでもオーバータイムにもつれ込む接戦だったのです。前回0ターンオーバーだったバンダースルートから6つのターンオーバーを引き出しましたが、再びこれを期待するのは確率の低い賭けかと思います。ただ、グライナーの止め方を再び模索しなければならなくなったシカゴも安泰ではありません。Game3ではまたDFプランを変えてくるのか、それとも方針はそのままに精度をまた上げてくるのか、眠れぬ日々を過ごすコーチ陣がどのような解を出してくるでしょうか。個人でいえば元気を取り戻しゲームウィナーを決めたスカイラーもFG%は散々だったのでもっと得点を伸ばせるのか、Game1に続き3P%が振るわないクイッグリーはホームでタッチを取り戻すのかも気になります。妄想を巡らせながら楽しみに土曜日を待ちたいと思います。

※現地実況解説でトーラジ勢よりトーラシ勢が多い気がしてきたのでトーラシ表記にしました。