kta-basket's blog

バスケット好きによるなにか

2021 WNBA Finals GAME1

Game1のシカゴが素晴らしかったので勝因考察します。

Full Gameはこちら

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1Qでさっそくトーラジがタフスリーを決め、この試合も理不尽モードか…⁉と戦々恐々なトーラジ&シカゴファンの私。 トーラジはこのあともスリーを沈め、これは調子良いモードですわ、と確信。 やや固さがみられるシカゴに対し、フェニックスが順調に得点を重ねリードするも、シカゴも1Q終盤に本来のプレーを取り戻し20-25と点差を詰めて終わる。 2Qに一気に畳みかけたシカゴは途中17-0のランを含む26-10で5点ビハインドから11点リードにして前半を終え、後半もじわじわ点差を広げ、4Q4:19で19点差のところでフェニックスも追跡を諦め91-77で試合終了。

スクリーンに対するシカゴDFの対処

シカゴはオンボールスクリーンに対してダブルチーム気味のハードショウのあとマッチアップを戻すDFをしていました。 これをやるとスクリーナーのDFがいなくなるのですが、パーカー&スティーブンスのプレッシャーが素晴らしいのでボールマンがパスを出せません。もう一人のインサイドDFがスクリーナーのヘルプをし、スクリーナーのDFをしていた選手とインサイドどうしでマッチアップを交換する場面もありました。 もう一つのこのDFのかわし方として、ボールマンがドリブルをついたまま大きく動くことでスイッチさせてミスマッチを作るという方法もあるのですが、こちらもドライブを止められてなかなかうまくいかず、成功したとしても後方のローテーションでなるべくミスマッチを作らないマッチアップにする判断が素晴らしく、良い結果に繋がりません。 フェニックスはハイピックを多用していましたがボールマンへのプレッシャーが成功し、スリーも打たせずパスも出させないどころかターンオーバー続出、パスが通ったとしてもそこまで有利なギャップは作れない、という状況。

ちなみにシカゴはアウトサイドプレイヤーどうしのスクリーンに関しては基本スイッチしていました。 インサイドとアウトサイドでスイッチが起こらないようにしていたのと、もしスイッチした場合のスイッチバックのタイミングも素晴らしかった。

後半フェニックスはハンドラーをシェイ・ペディにしてオフボールスクリーンからトーラジに渡したり、グライナーが初めからローポストにポジションを取るなどやや打開策を見出しましたが、終始オンボールスクリーンには苦しんでいました。

グライナーの止め方

さて、フェニックスと対戦するチームが頭を抱えるグライナーどう止める問題。 これに関してはひたすらに良いポジションでもらわせないことを徹底していました。 スティーブンス&パーカー&ドーソンが身体を張って外に押し出す、またはフロントに立ち、ペイントの少し外で持たれたらすぐダブルチームを送るのではなく、ドリブルをついた瞬間にアウトサイドプレイヤーがちょっかいを出しにいってドリブルを止めさせる、といったことをしていました。ポストアップに対してトーラジやスカイラー以外にマッチアップしているアウトサイドディフェンダーがスティールを狙っているよ、という寄りも見せています。

後半はゴールに比較的近い位置でボールを持たせるフェニックスの対策がうまくいき得点するシーンもありましたが、逆にポジション取り争いで2つのオフェンスチャージングを取られるなど、グライナーとしては厳しい試合でした。 最終的に今季のアベレージに近い20点取られていますが、FG 7/15、FT 6/6 とファールを抑えつつFG%も低く、よく守った方ではないでしょうか。(今季57.5%なので)

なお、この試合シカゴのインサイドではドゥー・フォールは試合が決まった終盤にしか出場していません。 彼女は長いですが、グライナーを押し出す重さ的に不利だから?

ちなみにセミファイナルではラスベガスはリズ・キャンベージは一人で守り、他のプレイヤーがマッチアップの場合はボールを持った瞬間ダブルチームを送る戦略を取っていましたね。 グライナーがゴールに近い位置であればダブルチーム相手にも得点したり、自分に二人きたことで空いた選手に捌いたりと止めきれなかった印象です。

トーラジ、スカイラーへのDF

トーラジに関してはスクリーンに対するDFで書いたダブルチームがより強固で、プレーオフキャリアハイの6つのターンオーバーを引き出しました。 また、ファールをもらいに体を当ててこようとする動きに対し見事な(笑)エビぞりで避けるシーンも見られました。FTA5本はかなり少ないのでは?

スカイラーに関してはあまり特別なDFはしていませんでした。基本的に一人で守り、ゴール近くのショットに対してのみヘルプDFもコンテストする程度。 前半は彼女がボールを持つ機会も少なかったように思います。後半に彼女らしいドライブも出たものの、試合を通して存在感が薄めでした。

シカゴのOF

試合前にゲスト解説のスー・バードがフェニックスはシカゴの速いペースにしないこと、シカゴはスリーポイントを36%以上で決めることをそれぞれ鍵にあげていました。 結果としてシカゴの3P%は34.8%と36%には届きませんでしたが、フェニックスから18個のTOを引き出し、タフショットが落ちたリバウンドからの速攻など、91点をあげる速いペースで勝利しました。

フェニックスはスクリーンに対して基本スイッチしていたので、一番有利なマッチアップで勝負させる、ヘルプがきたらフリーの選手にパス、とシンプルに攻めていました。 シンプルですが、その遂行能力が素晴らしいんですよね。そもそもパーカーとカッパーは1on1で守るのは難しい選手ですし、クイッグリーは少しでも隙間があればシュートを沈めますし、スルートはズレを作り出し一瞬の隙を見逃さないですし、スティーブンスはスリーも打ててインサイドへの合わせも上手い。スルート、パーカー、クイッグリーはパスも一級。ドーソンのスリーも効果的でした。

シカゴのインサイド陣はミスマッチでない限りあまりポストアップせず、スリーの外側で待つ(そしてスリーが入る)ので、中のスペースを有効に使えていましたね。 グライナーも外に出ざるを得ない。後半OFを改善してきたフェニックスですが、結局シカゴのOFを止める術がなく、万事休すといったところです。

カッパー21点、クイッグリー18点、パーカー16点、ドーソン14点、スルート12点、スティーブンス10点と6人が二桁得点。

フェニックスもDFの強度は強かったのですが、イライラして集中力を欠いた隙やベンチメンバーが狙われてしまいました。キア・ナースがいればまた違ったかなと思います。 あとはこの試合、リバウンドで34-29とフェニックスを5本上回ったのも大きいです。ターンオーバーはシカゴも15と多いですが、合わせて8ポゼッション多くOFの機会を得ました。

ちなみにスルートは12得点11アシスト5リバウンド1スティールの活躍かつターンオーバーが0という驚異的なスタッツでした。※ファイナルでの10アシスト以上0ターンオーバーは史上初

Game2に向けて

フェニックスはOFの組み立てをどう変えてくるでしょうか。後半にはやや打開策を見出しましたが、ベンチから出てきたボウンとハートリーが2/7、1/8では厳しい(シカゴは明らかにこの二人のDFをヘルプに回していましたね)です。ソフィー・カニングハムが復帰すればシュート力はやや頼もしくなりますが、スカイラーやグライナーのペイント内ポイントを増やしたいところ。DFはどうすればいいんでしょうね。。。

シカゴはDFの戦略が大成功したわけですが、継続しつつフェニックスの修正をどのように想定して準備してくるのか。パーカー&ドーソンのシュートタッチが続けばOFはなかなか止められないでしょう。逆に18点取っているもののクイッグリーは3Pがやや不調(3/11)だったので、もう少し決めていきたい。

プレーオフのシングルエリミネイション以外のシリーズの醍醐味はこのお互いの対応合戦だと思うので、Game2も非常に楽しみです。